「OEMとPB、どちらを選ぶべきか」「両者の違いがよくわからない」とお悩みではありませんか?
OEMは製造の仕組みを指す言葉であり、PBはブランドを示す概念です。似ているようで役割は異なりますが、一般的には混同されがちです。
今回は、PBとOEMの違いを、企画・開発から製造、販売まで解説します。
それぞれのメリット・デメリットを理解することで、自社の商品を展開する際の判断軸が得られるでしょう。
基本的な知識を整理したうえで、自社の戦略を検討する際の参考にしてください。
PBとは
PB(プライベートブランド)とは、小売業者や卸売業者が独自に企画・開発し、自社ブランドとして販売する商品を指します。
一般的には、スーパーマーケットやコンビニエンスストア、ドラッグストアなどの流通業者が、メーカーに製造を委託して作らせた商品を自社のブランド名で展開する形態が主流です。
例えば、「セブンプレミアム」(セブン&アイ・ホールディングス)や「トップバリュ」(イオン)、「からだWelcia」(ウエルシア薬局)といった商品が身近なPB商品として知られています。
PB商品の主な目的は、できるだけ価格を抑えながら、他社とは違う商品を作り、顧客に繰り返し来店してもらうことです。メーカーブランド(NB:ナショナルブランド)商品と比較して、流通コストや広告宣伝費を抑えられるため、より手頃な価格で提供できるのが大きな特徴です。
具体例として、ナショナルブランドの「明治 ブルガリアヨーグルト LB81 プレーン 400g」は204円(税込)で販売されています。一方、PB商品の「トップバリュ ベストプライス プレーンヨーグルト 400g」は139円(税込)です(※)。その価格差は65円で、PB商品は約31%安くなっています。
PBでは、顧客の要望や販売データをもとに商品の企画ができ、「その店に合った商品」を作れます。その結果、他店では買えない商品が生まれ、「あの商品を買いたいから、あの店に行こう」と来店を促します。
こうした積み重ねによって、顧客が繰り返し利用し、安定した売上につながります。
(※)(2026年3月1日 「イオンのネット専用スーパー Green Beans(グリーンビーンズ)」にて調査)
OEMとは
OEM(Original Equipment Manufacturing)とは、自社ブランドの商品を他社の工場に製造してもらう仕組みのことです。
PBは「自社ブランドとして販売する商品」ですが、そのPB商品を実際に作る方法の一つがOEMです。
つまり、PBは「誰のブランドか」という話であり、OEMは「誰が作るか」という製造形態の話です。多くのPB商品は、自社で工場を持たないため、OEMメーカーに製造を委託して作られています。
「PBはブランド戦略」「OEMは製造手法」で、PBを展開する際、その製造方法としてOEMを活用する、という関係になります。
OEMについては、以下記事で詳しく解説しております。ご興味のある方はぜひご覧ください。

OEMとPBの違いとは
PBとOEMは、それぞれ異なる概念を指します。PBは「誰のブランドとして販売するか」というブランド戦略の側面に焦点を当てた言葉であるのに対し、OEMは「誰が製造するか」という製造形態の側面に焦点を当てた言葉です。
この関係性を理解するために、以下の表で簡潔に整理します。
| 項目 | OEM | PB |
| 概念の焦点 | 製造の主体(誰が製造するか) | ブランドの主体(誰のブランドか) |
| 主な担い手 | 製造専門メーカー | 小売業者、卸売業者などの流通業者 |
| 関係性 | 他社ブランドの製品を製造 | 自社ブランドの商品 |
| 製造方法 | 受託元(依頼主)のブランド製品を製造 | 自社工場での製造、またはOEM委託 |
PBは「誰のブランドで売るか」を決める考え方で、OEMは「どの工場で作るか」を決める手段です。
したがって、「PBはOEMによって製造されることがある」という関係性が成り立ちます。より詳細な違いについては、次の章で解説します。
OEMとPBの違いを業務内容で比較
OEMとPBは、外部の製造能力を活用して商品を市場に投入するという点で共通していますが、商品の企画を誰が決めるのか、どのブランドで売るのか、問題が起きたときの責任を誰が負うのかなど、重要な部分には違いがあります。
企画開発から製造販売までの違い
OEMとPBでは、商品が店頭に並ぶまでの流れとそれぞれの企業が担う役割と主導権が異なります。
OEMでは委託側が製品の企画や設計の多くを担い、製造を外部に委託しますが、PBでは小売業者や流通業者が自社ブランドとして企画から販売まで一貫して主導します。
| 項目 | OEM | PB |
| 企画・設計 | 委託者(ブランド側)が主導し、製品の仕様やデザインを決める | 小売・流通業者(PB事業者)が主導し、企画、仕様、デザインを決める |
| 製造 | OEMメーカーが担当する | 外部の製造メーカー(OEMメーカーを含む)に委託 |
| 販売 | 委託者(ブランド側)が自社ブランドとして販売する | PB事業者が自社店舗で販売する |
| 流通 | 委託者(ブランド側)の流通網を通じて市場に供給される | PB事業者の流通網(自社店舗、オンラインストアなど)で販売する |
ブランド戦略における違い
ブランド戦略においても、OEMとPBではその目的とアプローチが大きく異なります。
OEMは、ブランド価値向上に貢献する仕組みで、PBは自社の店舗でしか購入できない商品を作り、顧客に繰り返し来店してもらうために行います。
| 項目 | OEM | PB |
| ブランドの主体 | 委託側のブランド。OEMメーカーの名前は基本的に表に出ない | 小売・流通業者の自社ブランドとして展開 |
| ブランド戦略の目的 | 委託側のブランド価値向上、商品ライン拡充、市場シェア拡大 | 自社チャネルの強化、顧客の囲い込み、顧客評価の向上 |
| 消費者からの認識 | 製造元は意識されず、品質や評価はすべて委託側のブランドに帰属 | 店舗・チェーンブランドの評価として認識される |
| 差別化の軸 | 委託側のブランドの企画力・マーケティング力 | 価格戦略、独自コンセプト、限定性による差別化 |
| ブランドリスク | ブランド毀損リスクは、ブランド側に集中。OEMは裏方 | 品質問題や販売不振は、自社ブランド全体に直結 |
| ブランド資産の蓄積 | 委託側の企業に蓄積。OEM側には基本的に蓄積しない | 小売・流通業者のブランド資産として蓄積 |
責任の所在とリスクの違い
製品に問題が発生した場合の責任の所在や、事業に伴うリスクもOEMとPBでは異なります。特に、製造物責任法(PL法)が関係するため、事前に理解しておくことが重要です。
なお、製造物責任法(PL法)とは、製品の欠陥によって、消費者に損害が生じた場合に、製造業者などが損害賠償責任を負うことを定めた法律です。
| 項目 | OEM | PB |
| 品質責任 | 製造元(OEMメーカー)が一次的な品質責任を負いますが、最終的な販売責任は委託側が負うため、共同で対応することが多いです。 | PB事業者が最終的な品質責任を負います。製造物責任法(PL法)においては、PB事業者が製造業者とみなされ、責任を負うケースがあります。 |
| 開発リスク | 製品の企画・設計は委託側が主導するため、商品が売れなかった場合は、委託者(ブランド側)に責任があります。 | PB事業者が開発を主導するため、開発費や販売不振のリスクはPB事業者が負います。 |
| 在庫リスク | 売れ残りのリスクは、委託者(ブランド側)にあります。 | PB事業者が在庫を抱えることになります。販売不振による在庫過多や廃棄のリスクはPB事業者が負います。 |
| 情報漏洩リスク | 製品の仕様や技術情報がOEMメーカーに渡るため、技術情報やノウハウの漏洩リスクを考慮する必要があります。 | 製造委託先に製品情報やコンセプトが渡るため、製品情報の漏洩リスクが存在します。 |
OEMのメリット・デメリット
OEMは、他社ブランドの製品を製造する形態を指します。
自社で製品を企画・開発し、製造は専門のOEMメーカーに委託する場合と、OEMメーカーが開発した製品を、自社ブランドとして販売する場合があります。
ここでは、主に自社企画・開発で製造を委託する際のメリットとデメリットを解説します。
| メリット | デメリット |
| 初期投資・設備投資の抑制自社で工場を持つ必要がないため、設備投資や人件費を抑えられます。新規事業への参入障壁が低くなり、リスクを軽減できます。 | 製造ノウハウの蓄積が困難製造はメーカーに依存するため、自社内に生産技術やノウハウが蓄積されにくい傾向があります。 |
| 専門技術・ノウハウの活用OEMメーカーが持つ専門的な製造技術や品質管理のノウハウを活用できます。自社では実現が難しい高品質な製品を生産できます。 | 品質管理を委託先に依存製品の品質はOEMメーカーの管理体制に左右されます。信頼できるメーカーを選ぶことが重要です。 |
| 本業への集中自社は、製品の企画、マーケティング、販売といった業務に資金と人材を集中できます。 | 生産計画の柔軟性低下OEMメーカーの生産スケジュールに合わせるため、急な増産や仕様変更への対応が難しい場合があります。 |
| 開発期間の短縮製品の開発から市場投入までの期間を短縮できる可能性があります。 | 機密保持のリスク製品の情報をOEMメーカーと共有するため、情報漏洩のリスクがゼロではありません。強固な機密保持契約(NDA)の締結が必要になります。 |
PBのメリット・デメリット
PBは、小売業者や卸売業者などが自社のブランド名で販売する製品です。
製造は外部の工場に委託することが一般的ですが、製品の企画から販売までを自社でコントロールします。
ここでは、PB商品開発におけるメリットとデメリットを解説します。
| メリット | デメリット |
| 高い利益率の確保中間業者を介さずに製品を調達・販売できるため、高い粗利益率を確保しやすいのが最大の魅力です。 | 多大な初期投資と開発コスト製品の企画、開発、デザイン、製造委託先の選定・管理など、全ての工程に自社が関わるため、初期費用や開発コストがかかります。 |
| ブランドイメージの構築自社ブランドとして製品を販売するため、企業全体のブランド価値を高めることができます。 | 在庫リスクを自社で負担製品の売れ行きが悪かった場合、売れ残りによる在庫を自社で抱えることになります。 |
| 市場ニーズへの迅速な対応自社で企画・開発を決められるため、顧客の意見や市場のトレンドをダイレクトに製品に反映できます。 | 品質管理・生産管理の全責任製品の品質問題が発生した場合、すべての責任はPBを販売する自社にあります。そのため、厳格な品質管理が必要です。 |
| 価格決定権の保有製品の価格を自由に設定できるため、競合他社との差別化を図りやすく、価格戦略を柔軟に展開できます。 | 専門知識・人材の必要性製品開発から生産管理、品質管理、マーケティング、物流まで、多岐にわたる専門知識や経験を持つ人材が社内に必要となります。 |
OEMを活用したPB商品開発を成功させるためのポイント
PB商品の開発において、OEMメーカーの選定は成功を左右する重要な要素です。適切なパートナーを見つけるためには、以下のポイントを徹底的に確認することが不可欠です。
これらのポイントを押さえることで、自社のブランドイメージを損なうことなく、高品質で競争力のあるPB商品を市場に投入できるでしょう。
成功させるためのポイントを以下に絞って解説します。
- 依頼したい製品を作る技術があるか
- 過去の生産事例を確認する
- 最小ロットを確認する
- 品質管理体制を確認する
依頼したい製品を作る技術があるか
OEMメーカーを選定する際、まず確認すべきは、「商品を安定して作れる会社か」です。カタログや営業担当の説明だけで判断せず、実績・試作品・品質体制の点から具体的に確認することが大切です。
- 専門分野の確認:食品、化粧品、健康食品、アパレルなど、製造したい製品が属する業界で商品を製造しているかを確認します。
- 技術力の評価:実際の試作品を確認し、品質や仕上がりを判断します。性能・見た目だけでなく、仕様変更への対応スピードも重要な判断材料になります。
- 品質基準への対応:まずは、薬機法や食品衛生法などへの対応を確認します。必要に応じて、業界基準も確認しましょう。例えば、ISOは、国際的な品質管理のルール、GMPは製品を安全に作るための基準で、HACCP(ハサップ)は食品の安全管理の方法を示します。
過去の生産事例を確認する
OEMメーカーの信頼性を測る上で、重要なことは、過去に「どんな商品をどれくらいの量を安定して製造したか」という点です。
- 類似製品の製造実績:自社が開発を検討しているPB商品の製造実績があるかを確認します。これにより、技術的な課題への対応力や、製品化までのスムーズな進行が期待できます。
- 取引先の実績:大手企業や有名ブランドとの取引実績があれば、信頼性が高いと判断できます。ただし、中小規模のメーカーでもニッチな分野で高い技術力を持つ場合もあります。
- 納期遵守とトラブル対応:納期を守れているか、また、問題が発生した際、どのような対応を取ったかなど、具体的な事例を確認することも重要です。
最小ロットを確認する
PB商品の製造においては、最低製造ロット(MOQ:Minimum Order Quantity)の確認が必要です。特に初めてPB商品を展開する場合、小ロットでの生産でリスクを抑えることができます。
最小ロットは製品の種類やメーカーによって大きく異なります。例えば、化粧品であれば100~1,000個、食品であれば500個からといったケースもあります。
ロット数によって単価が変動することも多いため、複数ロットでの見積もりを依頼し、検討することをおすすめします。
品質管理体制を確認する
PB商品は自社ブランドとして販売するため、「安心して買える商品かどうか」が重要です。製品の安全と品質を担保するための具体的な取り組みを確認しましょう。
| 確認項目 | 詳細 |
| 品質基準・認証 | メーカーが一定のルールに従って管理されているかを確認します。ISO9001、GMP(適正製造規範)、HACCP(危害分析重要管理点)などの品質管理基準認証をチェックしましょう。 |
| 検査体制 | 原材料の受け入れから、製造工程、最終製品に至るまで、どのタイミングで、どのような検査が行われているか確認します。 |
| トレーサビリティ | 製品の原材料調達から製造、出荷までの履歴を追跡できる体制(トレーサビリティ)を確認します。 |
| 不良品・クレーム対応 | 不良品が発生した場合の原因究明と再発防止策、消費者からのクレームに対する対応フローが明確になっているか確認します。 |
| 衛生管理 | 製造工場の衛生管理状況(清掃、従業員の衛生教育など)が徹底されているかを確認します。 |
これらの項目を具体的に確認し、自社の品質基準を満たすOEMメーカーを選定することが、PB商品の成功に直結します。
OEMとPBはどう使い分けるべきか
PBが向く企業は、自社の販売チャネルや顧客基盤を持ち、価格や仕様を自ら決めてブランドを育てたいケースです。在庫や品質トラブルの責任も自社で引き受け、中長期でブランド資産を積み上げる意思がある場合に適しています。
OEMが向く企業は、自社ブランドや販売力はあるものの、製造設備を持たず、製造は外部に任せたい場合です。
製品仕様は自社で設計しつつ、販売やマーケティングに集中し、最小ロットや納期といった製造側の制約を受け入れられる場合に適しています。
PBが向く企業
- 自社の販売チャネル(店舗・EC・会員基盤)がある
- 価格や仕様を自社で決めて差別化したい
- 長期的に自社ブランド資産を積み上げたい
- 在庫とクレーム対応の体制を自社で持てる
OEMが向く企業
- ブランドはあるが製造設備がない
- 製品仕様を自社で作れる(または作りたい)
- 製造は外部に任せて販売・マーケティングに集中したい
- ロットや納期など製造側の制約を許容できる
まとめ
OEMとPBの違いは、「誰が主導し、誰が責任を負い、どこで利益を取るか」という構造の違いにあります。OEMは製造を外部に委託し、PBは自社ブランドとして商品を持つ戦略です。
PBを選ぶ場合、利益率を高められる可能性はありますが、その分、在庫リスク、品質、クレーム対応、資金負担といった責任は自社に集まります。
とくに、OEMメーカー選びでは、作りたい商品を安定して製造できるか、類似商品の実績があるか、小ロットが可能か、品質管理の仕組みが整っているかを確認する必要があります。
PBは「安く製造して販売する方法」と考えられることもあります。しかし、自社の名前で商品を出すため、利益だけでなく、品質やクレーム対応を含めて自社が責任を持つ必要があります。OEMもPBも優劣の問題ではなく、自社の体力と戦略に合っているかどうかが重要です。

